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住まいに機械を飼い馴らす

2011.12.03

大きくなったテレビが従来の棚の外で威張っているという状態だけは絶対に避けたかった。これは建築家としての職業的意地である。だから息子には「テレビを買う金はあっても、棚を造り直す金がないんで、まあちょっと待て」と言いつづけて数年、ついに願いを叶えたのは一九八九年のことだ。長年我慢していたのだから二九インチなんて半端なことをせずに、当時の最新鋭の四〇インチ、各社のいわゆる内面反射型テレビが二世代めになり機能が安定した時期に、おめあての機器のサイズをあらかじめカタログで調べ、背面に記載寸法外の突出がないかどうかも店頭の現物で確認してから棚を設計し、なじみの家具屋さんに造ってもらった。

[参考]
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その棚ができてから数日後巨大なダンボール箱が配送され、梱包を解いて出てきたキャスター付き四〇インチテレビがスッポリと棚の中に納まった時には、家族も拍手したね!これはまあ大部分は大型テレビへの歓迎だろうが、家具の設計者に対する賞賛もいくぶんかは含まれていたと思いたい。前の棚にはLPレコード、レーザーディスクの収納部分があったが、今度はそれに加えてビデオーカセット、オーディオーカセット、CDがピッタリ入る引き出しを備えたので各種のソフトも整然と納まって快適だ。しかしこうした仕掛けの複雑さのせいで、この棚は息子へ言い訳どおり、四〇インチテレビより高くついた。住まいに機械を飼い馴らすにはそれなりの苦労がつきまとうものである。