それほどの価値がないところでは、売り主がピーク時の地価で売りに出しても、買い手がそれだけの価値を認めない場合や、貸ビルとして経営してもとうてい採算がとれない物件は、急速に値を下げていった。ただ、少なくとも昭和63年夏の時点では、都心の商業地の地価がそれほど大きく下げていない1つの理由は、基本的にはまだ社会が金余り状態で、好景気だからである。金融機関としても、高騰した地価を現状で維持するなかで、あまり事を荒だてずに不良貸し付けを処理する方法を模索しており、簡単には不動産業者を倒産に追い込めないからでもある。したがって、もし金融機関がそれぞれに実勢値との乖離分を自行で償却し、不良物件を順次処分していけば、商業地の地価はそれほど大きく値下がりしないかもしれない。もしそういう方法をとらず、数100億円近く貸し付けてある中堅クラスの不動産会社を倒産に追い込めば、一気に土地の投げ売りが出て、地価の暴落が現実のものとなる危険もある。いずれにせよ、今後の全体の景気にかかっているといえる。商業地の地価はそういう点からは、いまかなり不安定な状態にあるといえる。
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