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広く視線の通る空間があった方がいい

2011.12.09

日本の標準的な住宅の面積の中では独立した食堂をとる余裕などありはしない、と思われる方もあるだろう。その感想は確かに半ば当たっているか、独立した食堂をとることが絶対的に不可能ということはない。たとえば現在の住宅金融公庫の標準的な融資上限である一二○平方メートル(約三六坪)の住宅に、親子四人の家族が暮らす場合を考えると、子ども部屋を二つつくった上で、食堂を独立させることは十分に可能なのだ。しかし実際の設計体験からすると、ぼくはこの程度の規模の住宅で食堂を独立させたことはない。

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それはいわゆる狭義の機能的な面積配分とは別の観点からの判断である。ぼくは一軒の住宅にはどこかドカンと広く視線の通る空間があった方がいいと思うのだ。一二〇平方メートル程度の規模で食堂をがっちり区画してとると、部屋数が一つ増えて全体が細分化し、チマチマした感じになりがちである。どこか広くするとすれば、当然、第一の中心である居間である。その潜在的、象徴的機能まで考えると、居開は表面的な機能性を超えて、いわば意味なく広くしたい。そう考えると、食堂の独立性を犠牲にしても、居間に食堂の場を抱きこんでいくことになるのだ。