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建物に負荷がかかる「地震力」とは

2011.10.28

兵庫県南部地震のときの神戸海洋気象台の記録について応答スペクトルが求められています。たとえば固有周期が〇・五秒で減衰定数が五%の木造住宅は、加速度で最大二〇〇〇ガル、速度で最大一一六○カイン、変位で最大一三センチ揺れたことがわかります。さて、建物の耐震設計の実務では、地震のときに「揺れている」状態、すなわち「動的」のままではあつかいにくいので、「止まっている」状態、すなわち「静的」におきかえて計算します。

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物理学によれば、加速度に質点(建物)の質量をかけたものは力になります。これは力学でいう「慣性力」です。わたしたちが乗り物に乗っていて、急発進したり急停車したりするときに感じる力が慣性力です。慣性力を耐震工学では「地震力」と呼んでいます。ちなみに慣性力の概念は、ガリレオが考えだし、ニュートンが確立したものです。ふつうの建物の耐震設計では、水平方向の地震力だけを考えるので、「地震時水平力」ということもあります。また、耐震設計の実務においては、地震力の最大値だけに着目するので、地震力の最大値も「地震力」あるいは「地震時水平力」と呼ぶことがあります。さらに、地震力と同じ意味で、「地震荷重」という言葉を使うこともあります。地震力は、建物にそれを水平方向にすり切るような力を与えます。串団子モデルでいえば、ばねを横方向にたわませようとする力です。このすり切るような力のことを、層せん断力と呼びます。そしてこの層せん断力と、建物重量による鉛直方向力(質量に重力加速度をかけたもの)の比率を、層せん断力係数と呼んでいます。したがって、加速度応答スペクトルを重力加速度で割れば、層せん断力係数のスペクトルになります。