手付を交付した買主はそれを放棄すれば、また受けとった売主は倍額を返還すれば、売買契約を解除できる、とされる手付を「解約手付」と呼んでいる。多くの人が、手付といえばこのようなもの(だけ)と考えているくらい、一般化している手付である。それは実際の例はこの場合が多いというだけからではなく、民法もその旨を規定している(五五七条)ほか、宅建業法も業者が売主の場合につき解約手付としている(三九条)からである。そこで、民法の定めにより、手付の授受があるときは、放棄または倍額返還で、契約を解除できるのが原則となるが、実務上は、その先がしっかり理解しておくべき大事な点である。
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まず、第一に民法の右の規定は任意法規と考えられているから、当事者の約定で排除できる。妓高裁も「此(この)規定は任意法規であるから、当事者が反対の合意をした時は其適用のないことはいうまでもない」としている(昭和二四年一〇月四日判決)。したがって、実務においては、解約手付であることを排除したのかどうか、をはっきりしておくことが大切なことになる。次に、解約手付を排除することなく、手付にほかの性質、効果を併せ持たせることは可能と考えられている点にも注意を要する。